2012年4月25日水曜日

ノリントン・マジックを楽しむ

■ロジャー・ノリントン指揮、N響第1726回定期公演
[2012年4月25日(水) サントリーホール]

ノリントンが指揮するコンサートは、
視覚的にも楽しい。
「どうです?ほら、面白いでしょ?」というような、
マエストロの表情もそうだが、
今回は、楽器や指揮者の位置にも工夫が感じられ、
なかなかスペクタクルな演奏会だった。

曲目は、
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番
(独奏は河村尚子)
ブラームス:交響曲第2番

客席に入って舞台を見ると、
ピアノがすでにセッティングされている。
しかも、通常の横位置ではなく、
鍵盤が客席側・・・つまり独奏者はオケと向かい合い、客席に背を向ける形。

いつもだと、序曲の後、ステマネ軍団がガサゴソとセッティング替えをするが、
時間的な流れが削がれてしまい、あまり好きではない。
1曲目が5分とか10分程度の曲なら、
コンチェルトの楽器はあらかじめセッティングしておいてくれた方がいい。

さてさて・・・
このセッティングの中、まず1曲目の「コリオラン」。
ローマ神話の英雄を描いた音楽にふさわしく、
強烈で決然とした打撃的な和音で、ノリントン・マジックのはじまり。

2曲目のコンチェルトでは、
指揮者はピアノの末端の方で、
オケのど真ん中みたいな位置で指揮。
なかなか新鮮な光景だ。

ピアノの河村尚子も、
ノリントンが紡ぎだす「ピュア・トーン」のオケと有機的に反応。
冒頭の和音をアルペジオで始めるなど、即興性も出しながら、
新鮮なベートーヴェンでした。

後半のブラームスは、
堂々の18型。しかも、倍管の大編成。
芳醇なロマン的響きというよりも、透明でしっかりとした響きのブラームス。
各声部の響きの層がくっきりと聴こえ、
素晴らしい演奏でBravo!
マエストロ・ノリントンも楽章間で楽員たちに指揮棒で小さく「拍手」を送るなど、
満足そうでした。

2012年4月21日土曜日

再びカンブルラン

■シルヴァン・カンブルラン指揮、読売日響[2012年4月21日(土) サントリーホール]

常任指揮者カンブルランによる読響4月公演。
元気をもらいに、二つ目プログラムも聴きに出かけた。

前回が「バレエ・リュス」に因んだプログラムだったが、
今回のコンセプトは何だったのかな・・・・?

メシアン:ほほえみ
イベール:3つの小品
イベール:アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲
フランク:交響曲

フランクを聴き終わって思ったことは、
「心の中の響」がコンセプトだったのかな・・・と。

メシアンとフランクは、
二人とも教会のオルガニストだったという共通点がある。
フランクの交響曲など、
ブルックナーを連想させるような「教会的」響きが感じられ、
ああ、彼の心の中には教会の響きが常にあったんだなと、
あらためて思った。

一方のメシアンの「心の中の響き」は、
これはもう、「鳥」とか「自然」とか・・・。
そして内省的な「神」「信仰」とか・・・。
今回の「ほほえみ」という曲は、
モーツァルト没後200年を記念して作曲され、
メシアンが「モーツァルトの生涯と作品には
“ほほえみ”があった」として作曲したというが、
だからといって、彼のほほえみは、
聴く人を快活にする微笑みではない。
一人、自然の中に身を置き、
鳥や風の音を感じて微笑む・・・
そんな曲に聴こえた。

イベールの2曲は、
管楽器による色彩豊かな響き。
「3つの小品」は、指揮者なしで
フルート、オーボエ、クラリネット、
ファゴット、ホルンによる五重奏。
オケの演奏会で、こういう曲を聴くのもいいもんだ。
「アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲」も
実演で聴く機会が滅多にない曲。
須川展也のソロで、心うきうきと楽しめた。

マエストロ・カンブルランは、
今日も元気溌剌!
読響も、張りのある響きで充実の演奏。
次回の来演を楽しみにしておりまする!

2012年4月16日月曜日

カンブルラン指揮「バレエ・リュス」プログラム

■シルヴァン・カンブルラン指揮、読売日響第514回定期演奏会
[2012年4月16日(月) サントリーホール]

ディアギレフ率いるバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)に因んだ、
粋なプログラム。
元気ハツラツ、カンブルランの指揮。
そして何より、音の「ベクトル」がはっきりとした読響の艶とコシのある響き。

それらで、音楽を大いに楽しみ、
音楽で元気をもらった演奏会・・・。

プログラムは、
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ドビュッシー:バレエ音楽「おもちゃ箱」
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)

ね、面白そうでしょ!

実際のバレエの舞台を観るよりも、
(滅多に観る機会はないが・・・)
情景が目に浮かぶような音楽。

読響の音も、
「何を表したいか」という至極当たり前なことが
音楽となって客席に伝わっていく。
オーケストラとしての音の「ベクトル」が
しっかりしているのだ。

だから、面白いプログラムが、
面白い「舞台芸術」となって、
客の心に作用する。

「ペトルーシュカ」の謝肉祭の場面なんか、
色とりどりの「音」が重なり合って、
サンクト・ペテルブルクの広場が目に浮かぶようで、
(行ったことはないが・・・)
思わず身を乗り出してしまった。

いやはや楽しい演奏会でした。Bravo!

2012年4月12日木曜日

インバル&都響の名演!

年度末&年度始めでなにかと忙しく、コンサートにもなかなか行けず、
禁断症状が・・・・。
そこで、思い立って急きょサントリーホールへ。

■エリアフ・インバル指揮、都響定期演奏会
[2012年4月12日(木) サントリーホール]

プログラムは、
モーツァルト:ピアノ協奏曲第8番「リュッツォウ」
(ソリストは児玉桃)
ブルックナー:交響曲第7番

久しぶりに聴く都響。
モーツァルトの冒頭の弦の音にびっくり!
繊細で、しかも温かみのある音。
一気に馥郁たる音楽の世界に没入することができた。

そしてこのオケの音に、
児玉桃の奏でるピアノが重なっていく。
ピアノが上手なリュッツォウ伯爵夫人のために書かれたという、
ハ長調の「素直」な曲が、
何とも素敵な音楽として紡ぎだされていく。
超絶技巧で複雑な構成の難曲もいいが、
こうした単純な曲で人の心を揺さぶるのって、
結構難しい「技」。
いやはや楽しませていただきました。
マエストロとソリストとオケのみんなにBravi!

そして後半は、ブルックナーの7番!
これはもう、マエストロ・インバル渾身のパフォーマンス。
密度が濃く有機的に紡ぎ出されたオケの音で、
音楽の大きなうねりを形作っていく。
マエストロの大きな体で表現される音楽に、
オケも聴衆も安心して心を委ねて、
ホール空間の中で音楽そのものを共有できました。

自分も含め、感動した聴衆の拍手に応えて、
マエストロのソロ・カーテンコール1回。
Bravo!

それにしても、マエストロ・インバルは、
3月から来日していて、今回の演奏会も数ステージ目。
じっくりと腰を据えてのオケとの音楽作りを目指しているようだ。
短期単発の客演が多い日本のオケの指揮者事情からすると、
これは極めて珍しいケース。
このようなスケジューリングを実現させている都響の姿勢にもBravo!

ますますインバル&都響から目が(耳が?)離せない。