2012年1月10日火曜日

バロック・オペラでオペラ始め

2012年のオペラ始めは、バロック・オペラ。
・・・といっても、映画館での鑑賞だけど。

■METライブビューイング「ロデリンダ」
[2012年1月10日(火) 新宿ピカデリー]

バロック・オペラというと、曲調も全編バロック音楽だし(当たり前だ!)、何度も同じことばかり歌うし、そのお陰で長いし・・・で、あまり積極的に接してはこなかった。
この「ロデリンダ」も「どうかなぁ・・・?」と思っていたが、METの“女王”ルネ・フレミングが大切にしているらしい演目ということなので、映画館に足を運んだ次第。

・・・で、観終わっての感想だけど、
何よりも演出が素晴らしい!
演出は、スティーヴン・ワズワース。
この人、インタヴューでも言っていたが、18世紀大好き人間らしく、バロック・オペラに対する愛情の深さと知識の豊かさが画面を観ていても感じられる。

舞台は、イタリア半島北部ロンバルド、つまりミラノの宮廷。
ロンバルディアあたりでよく見かける城の塔や中庭が忠実に再現されている。
そして、宮廷内の図書室や裏庭、馬小屋などが左右にスライドされていく。
舞台転換がスムーズで各場の空間的な関連が解りやすく、音楽を途切れさせることもない。
舞台袖が広いMETの舞台機構を存分に駆使したアイディアだ。

美術のデザインは、いわゆる等身大。
誇張や抽象化は一切ない。
大勢の人間が仕事をしている宮廷らしく、衛兵が横切ったり、庭師が花の手入れをしたり・・・、と助演の使い方・動かし方も「動く舞台美術」となっていて効果的だ。

その中で、バロック・オペラ特有の「歌」が、技巧を駆使して歌われていく。
歌詞を文字化すると少しのことしか言っていない、いわゆる「ダ・カーポ・アリア」なのだが、装飾音の付け方や演技がきちんと演出されているので、単なる「繰り返し」に終わらず、感情の変化が自然と客席に伝わり、ドラマとして「歌」が成立している。
この演出家、大した力量だし、それに応えて歌い演じた歌手たちも見事!
おかげで「バロック・オペラってこういう面白さがあるんだ」と、
遅ればせながら認識させられた次第。

王妃ロデリンダの夫で王位を略奪されていた元王べルタリドを演じたアンドレアス・ショルと、その忠実な腹心ウヌルフォを演じたイェスティン・デイヴィィーズは、カウンターテナー。
ヘンデルの時代には、カストラートが歌い演じた役だが、カウンターテナーだと発声が「裏声」だから、他のオペラ歌手たちとの異質感はどうしても生じてしまう。
映画館では、慣れてしまえばそれでいいが、実際のMETの劇場空間ではどのように彼らの「裏声」が聴こえたんだろうか?
現代では叶わないことだろうけど、カストラートだったら、どんな表現になっていたんだろう・・・などと想像もしてしまった。
(もっとも、バロック時代のカストラートだったら、細かい演技などはしなかっただろうけどね)

ロデリンダとベルタリドの息子フラヴィオを演じた少年(歌はなく、黙役)が、王子らしい気品とあどけなさのバランスが良くBravo!

ベルタリドの妹で、婚約者から振られ続けるエディージェを演じたのは、ワーグナー「指輪チクルス」のフリッカ役、その巨大な存在感で圧倒しているステファニー・プライズ。巨大な体型が、正直はじめのうちは滑稽にも見えたが、「歌のドラマ表現」は流石に素晴らしく、可憐な女心も見えてきてBrava!でした。

そうそう、ヘンデルの音楽をドラマチックに指揮した、バロック音楽のスペシャリスト、ハリー・ビケットにもBravo!

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