■スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮、N響「第九」
[2011年12月27日(火) サントリーホール]
いろいろと大変なことが多かった2011年。
その締めくくりは、やはり「第九」。
今年はスクロヴァチェフスキ御大がN響の第九を指揮するというので、
早々にチケットを予約した次第。
いやぁ、それにしても見事な第九だった!
音が、音楽が、ちっとも弛緩しない。
緊張感にあふれ、しかも雄渾。
音楽の流れ、フレーズ、歌を大切にしながら、滔々と流れていく。
そして、大地の底から湧きたつような豪放な音のうねり。
聴いていて、いつまでも音楽が続いてほしい、終わらないで・・・
と胸が熱くなるような体験だった。
御歳88にして、このような音楽を作りだせるマエストロにあらためて感服。
独唱4人(と3名の打楽器奏者)は、4楽章が始まって、「この音じゃない!これでもない!これだ、これこれ」というくだりが一段落したところで登場。
対向配置にセッティングされたコントラバスの後ろ、つまり下手舞台奥という、これまで経験したことのない位置。こうすることでオケがオペラのピットのようになり、独唱と合唱が一体となっておさまりがいい。楽章間の独唱陣の出によって音楽が中断することもなく、なかなかいい演出だ。
サントリーホールのP席エリアいっぱいに陣取った合唱は、例年のように国立音楽大学。
女声が圧倒的に多く、男声の倍以上。
音楽大学で声楽を専攻する学生の男女比を象徴しているのかな。
でも、よくトレーニングされていて、若々しくも立派な合唱でした。
客席は大喝采。
合唱団が退場する間も拍手が鳴りやまず、
スクロヴァチェスフキ御大のソロ・カーテンコールでようやく収まった。
久しぶりに接した「第九」の素晴らしい演奏に大満足。
これで今年のコンサート鑑賞もオシマイ。
来るべき2012年が、素晴らしい年となりますように!
2011年12月14日水曜日
求めていたのはもっと高次元のパフォーマンス
デュトワが指揮する12月のN響定期の3種類のプログラムの中で、
最もオーケストラの本領が試されるのが、このBプロの曲目なのでは。
で、楽しみにして出かけた・・・。
■シャルル・デュトワ指揮、N響第1717回定期公演
[2011年12月14日(水) サントリーホール]
ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番
(ピアノ独奏:ニコライ・ルガンスキー)
バルトーク:オーケストラのための協奏曲
歴史のうねりの中で翻弄された、
ドイツ、ロシア、ハンガリーの作曲家の代表作。
いずれも、アメリカのオーケストラで初演されたところが面白い。
(ヒンデミットはニューヨーク・フィル、プロコフィエフはシカゴ響、バルトークはボストン響)
だから、作曲家の母国の国民性・民族性よりも、
作品のもつインターナショナルな普遍性を意識しながら鑑賞することにした。
それにしても、こういうプログラムだと、
オーケストラの「機能性」が如実にわかってしまう。
N響は・・・
悪くはないんだけど、各パート、というか楽員一人一人の音楽的「ベクトル」みたいなものがもう少し欲しいんだなぁ。
全体としては良くまとまっているんだけど、
こういうプログラムだと、まとまり過ぎて面白みに欠けるのだ。
自主的にまとまってしまうよりも、
各人・各パートの発信力がもっと欲しいんだなぁ・・・。
パフォーマンス不足で、ゾクゾクするような躍動感ある「音楽」を体感できなかったのが残念!
デュトワも、音楽監督時代とは違って今は「客演」の身分だから、そんなにオケをいじくらないし・・・。なんだか、「フォーメーションばかり気にしてゴールを決められないサッカーの外国人監督」みたいに見えてしまった・・・。
客席は沸いていたけれど、
デュトワとN響だったら、
もっと高い次元の演奏を期待したいところだ。
最もオーケストラの本領が試されるのが、このBプロの曲目なのでは。
で、楽しみにして出かけた・・・。
■シャルル・デュトワ指揮、N響第1717回定期公演
[2011年12月14日(水) サントリーホール]
ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番
(ピアノ独奏:ニコライ・ルガンスキー)
バルトーク:オーケストラのための協奏曲
歴史のうねりの中で翻弄された、
ドイツ、ロシア、ハンガリーの作曲家の代表作。
いずれも、アメリカのオーケストラで初演されたところが面白い。
(ヒンデミットはニューヨーク・フィル、プロコフィエフはシカゴ響、バルトークはボストン響)
だから、作曲家の母国の国民性・民族性よりも、
作品のもつインターナショナルな普遍性を意識しながら鑑賞することにした。
それにしても、こういうプログラムだと、
オーケストラの「機能性」が如実にわかってしまう。
N響は・・・
悪くはないんだけど、各パート、というか楽員一人一人の音楽的「ベクトル」みたいなものがもう少し欲しいんだなぁ。
全体としては良くまとまっているんだけど、
こういうプログラムだと、まとまり過ぎて面白みに欠けるのだ。
自主的にまとまってしまうよりも、
各人・各パートの発信力がもっと欲しいんだなぁ・・・。
パフォーマンス不足で、ゾクゾクするような躍動感ある「音楽」を体感できなかったのが残念!
デュトワも、音楽監督時代とは違って今は「客演」の身分だから、そんなにオケをいじくらないし・・・。なんだか、「フォーメーションばかり気にしてゴールを決められないサッカーの外国人監督」みたいに見えてしまった・・・。
客席は沸いていたけれど、
デュトワとN響だったら、
もっと高い次元の演奏を期待したいところだ。
2011年12月13日火曜日
METライブビューイング「サティアグラハ」
フィリップ・グラスのオペラ「サティアグラハ」を観た。
主人公はガンジー。
彼が南アフリカで人種差別に直面し、「非暴力・非服従」による抵抗運動を繰り広げていく様子を描いている。
歌詞はサンスクリット語によるヒンドゥーの聖典「バガヴァッド・ギーター」の言葉。
歌詞と舞台上の出来事には、なんと!「関連性が無い」
「意味にとらわれず音として体感される歌詞と、歌詞の影響を受けずに語られる物語」というのが作曲家グラスの意図らしいが、解ったような解らないような・・・。
でも、音楽が始まってみると、彼独特のミニマル・ミュージックが温浴効果のようにジワ~ッと体にしみ込んできて心地よい。
終わってみれば、執拗に繰り返されていた「音楽」を知らず知らずに口ずさむ自分がいた。
オペラやコンサートが終わって、そこで体験した音楽が自然と口をついて出てくる、というのは、まさしく「音楽が素晴らしかった」ということに他ならないのでは?
出演者の中では、主役のリチャード・クロフトが音楽の中でガンジーになりきっていて素晴らしかったのは言うまでもないが、Miss Schlesenという役を歌ったソプラノのラシェル・ダーキンRachelle Durkinの存在感と歌唱が見事!この人、何年か前の「セヴィリアの理髪師」のライブビューイングで観た記憶があり、ロッシーニのブッファでの異彩ぶりが気に入っていたのだが、フィリップ・グラスのミニマル・ミュージックに乗った重唱やソロでも充分に強烈な個性を発揮!Brava!
新聞紙を使った巨大な操り人形やフライング、シルエットなどで、このオペラを視覚的に面白く仕立ててくれた助演12人の演劇カンパニーがBravi!
このオペラの各幕を象徴するもうひとつの歴史的人物たち(トルストイ、タゴール、キング牧師)を黙役で視覚化していたのも彼ら。
この思想的な題材のオペラが、助演グループの動きによってどれだけ「スペクタクル」な「エンターテイメント」に仕上がっていたことか。
そして、フィリップ・グラスの音楽をピットの中でよく「落っこちもせず」演奏してのけたオーケストラにも拍手!やっぱり音楽は「生に限る!」
MCは、「指輪」でアルベルヒを演じているエリック・オーウェンス。
ライブビューイングMCデビューなんじゃないかな?
バス・バリトンの心地よい声で、誠実にきちんとした進行で好感が持てました。
こちらもBravo!
主人公はガンジー。
彼が南アフリカで人種差別に直面し、「非暴力・非服従」による抵抗運動を繰り広げていく様子を描いている。
歌詞はサンスクリット語によるヒンドゥーの聖典「バガヴァッド・ギーター」の言葉。
歌詞と舞台上の出来事には、なんと!「関連性が無い」
「意味にとらわれず音として体感される歌詞と、歌詞の影響を受けずに語られる物語」というのが作曲家グラスの意図らしいが、解ったような解らないような・・・。
でも、音楽が始まってみると、彼独特のミニマル・ミュージックが温浴効果のようにジワ~ッと体にしみ込んできて心地よい。
終わってみれば、執拗に繰り返されていた「音楽」を知らず知らずに口ずさむ自分がいた。
オペラやコンサートが終わって、そこで体験した音楽が自然と口をついて出てくる、というのは、まさしく「音楽が素晴らしかった」ということに他ならないのでは?
出演者の中では、主役のリチャード・クロフトが音楽の中でガンジーになりきっていて素晴らしかったのは言うまでもないが、Miss Schlesenという役を歌ったソプラノのラシェル・ダーキンRachelle Durkinの存在感と歌唱が見事!この人、何年か前の「セヴィリアの理髪師」のライブビューイングで観た記憶があり、ロッシーニのブッファでの異彩ぶりが気に入っていたのだが、フィリップ・グラスのミニマル・ミュージックに乗った重唱やソロでも充分に強烈な個性を発揮!Brava!
新聞紙を使った巨大な操り人形やフライング、シルエットなどで、このオペラを視覚的に面白く仕立ててくれた助演12人の演劇カンパニーがBravi!
このオペラの各幕を象徴するもうひとつの歴史的人物たち(トルストイ、タゴール、キング牧師)を黙役で視覚化していたのも彼ら。
この思想的な題材のオペラが、助演グループの動きによってどれだけ「スペクタクル」な「エンターテイメント」に仕上がっていたことか。
そして、フィリップ・グラスの音楽をピットの中でよく「落っこちもせず」演奏してのけたオーケストラにも拍手!やっぱり音楽は「生に限る!」
MCは、「指輪」でアルベルヒを演じているエリック・オーウェンス。
ライブビューイングMCデビューなんじゃないかな?
バス・バリトンの心地よい声で、誠実にきちんとした進行で好感が持てました。
こちらもBravo!
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