ロベール・ルパージュ演出によるMETの指輪チクルス。
「ジークフリート」を見る。
この新演出シリーズの特徴である巨大な舞台装置にも、
ある意味、慣れた。
この「ジークフリート」は、
慣れた分だけ、マシンに圧倒されることなく、
恐れを知らぬ青年ジークフリートのドラマに集中することができた。
ジークフリート役は、ギャリー・レイマンが病気で降板し、
テキサス生まれのジェイ・ハンター・モリスが大抜擢されてデビュー。
若々しくて、声に張りと力強さがあり、森の中で鍛冶屋のミーメに男手一つで育てられた青年ジークフリートの若さと荒々しさ、申し分なし。
ワーグナー歌手っていうと、とかくオッサンやオバサンばかりで、
見た目の「若さ」や「体の張り具合」を「変換」しながら鑑賞しないと、
ドラマがわからなくなってしまう場合が多いが、
このテキサス出の若手テノールは、外見も声の艶もBravo!
見た目の点では、
ジークフリートが生まれた頃から「18年間」も炎の山で眠りについていたデボラ・ヴォイト演じるブリュンヒルデとの対比も納得。
ジークフリートにとっては、18歳年上の「年増女」だもんね。
大人の女とティーンエイジャーの若者との声の競演も見事でした。
ミーメを演じ歌ったゲルハルド・ジーゲルにも拍手。
粗暴なジークフリートに手こずりながらの芝居が、この神話劇に何とも人間臭く面白い家族ドラマの要素を加えて、アクセントになっていた。
森の小鳥を舞台裏で歌っていたのは、
「ドン・ジョヴァンニ」でツェルリーナを演じていたモイツァ・エルドマン。
男くさい神話劇の中で、可憐なソプラノの声が一服の清涼剤。
それにしても、こんなに長大で強力な音楽劇にほとんど出ずっぱりで歌いきるジークフリート歌手というのは、本当に超人的としか言いようがない。
体の内部の筋肉はどんなになっているのだろう・・・。
指揮は、ファビオ・ルイージ。
緊張感ある音楽づくりでお見事でした!

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