2011年10月20日木曜日

バロック劇場の技術力

プラハからウィーンに向かう途中、南ボヘミアのチェスキー・クルムロフに1泊した。
ここは、ヴルダヴァ川が大きく蛇行したところに、13世紀に建てられた城がそびえる小さな町。
ユネスコの世界遺産に登録されていて、観光客もたくさん。

地元のビール醸造所や城を見学したり、川鱒料理とボヘミア・ワインを堪能したり・・・と、一通り観光をすませた翌日、再び城に出かけて劇場見学をすることにした。

このチェスキー・クルムロフ城には、バロック劇場が保存されていて、劇場だけの見学ツアーが設定されている。

城本体の見学ツアーに比べて、劇場だけのツアーは参加者もわずか。
我々のほかに、イタリア人カップルの4名だけ。

ここの特徴は、舞台機構がほぼ完全に保存されていること。
デモンストレーションを見せてくれるのかと思ったが、それはビデオでの鑑賞のみ。
客席やオケピット、舞台裏や奈落などを見学した後、ここで上演されたバロック・オペラの映像で、スペクタクルな舞台転換や切り穴を使った人物の登場など、様々な機構の操作やバロック時代の演出を鑑賞。

舞台の奈落では、滑車につながれたロープを操作して、一瞬ですべての袖パネルや背景幕を転換。町の広場から宮殿の大広間へ、城の庭園から戦場へと転換させていく。
この舞台転換の迅速さをもってすれば、あの繰り返しばかりで少々単調なバロック・オペラも大いに楽しめることだろう。

そして、驚きなのは、このスペクタクルでスピーディな大転換をたった二人の男(スタッフとか舞台係なんていうより、この場合「男」というのが相応しい・・・)でこなしていること!
最新式のコンピュータ制御の舞台機構なんか入れて、機械のメンテナンスに莫大な費用を要し、安全確認係も含めてスタッフも大勢配置しなければならない現代とは大違い。一瞬、舞台機構の技術力は、バロックから現代に時代が移るにつれて「退化」したのではないかと思ってしまったほど・・・。

この劇場空間と舞台機構を知らなければ、バロックの舞台芸術は理解できないだろうなぁ。
いつの日か、ここでバロック・オペラが上演される機会があったら、是非、再訪したいと強く思った。

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