2011年8月4日木曜日

若者たちによる王道プログラム

夏の定番、「寄せ集め」オーケストラの公演をもうひとつ。
“世界の若手音楽家を育成する国際教育音楽祭”PMFのオーケストラコンサートだ。
こちらは、「寄せ集め」というより、若手音楽家がオーディションを突破して参加しているので、「寄り集まり」とでもいうべきか・・・?

■PMFチャリティコンサート
[2011年8月4日(木) 東京オペラシティコンサートホール]

札幌での約ひと月にわたる日程の後、大阪と東京で行われた成果披露演奏会みたいなもの。
指揮は、ファビオ・ルイジ。
曲は、モーツァルト、ワーグナー、ブラームスという「王道」プログラム。

この日は、特別支援企業の野村グループ主催によるチャリティコンサート。
何がチャリティかというと、チケット収入の全額を東日本大震災で被災した子どもたちの教育支援に役立たせるとのこと。このように使用意図を明確にしたチャリティ企画は賛同できる。

演奏に関して一言コメント・・・

1曲目はモーツアルトのクラリネット協奏曲。
クラリネット独奏は、スティーヴン・ウィリアムソン。
メトロポリタン歌劇場の首席をつとめ、今秋のシーズンからシカゴ響の首席に就任するとか。
柔らかい音でフレーズを繊細に紡ぎだす独奏に触発されて、オーケストラも折り目正しい中にも活き活きとした音楽を奏でBravi!

2曲目は、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」から“前奏曲”と“愛の死”。
こういう官能的で爛熟した音楽で人を感動させるには、若者たちにはまだ早すぎるのかな?
一生懸命きっちりと演奏しようとはしているんだけど、一つ一つの音に込められているはずの「愛」とか「苦悩」とかが音楽になって伝わってこない。
でも考えてみたら、それでいいんだよ。
若者たちが、ワーグナーの官能美で人を感動させてしまったら、ある意味、大変だもん・・・。

休憩後は、ブラームスの交響曲第2番。
厚く温かみのある響きが、古典的な語法でしっかりと構築されているブラームスの音楽。アンサンブルを練れば練るだけ味も深く濃くなるだろうから、若手音楽家の“練成”にはうってつけの選曲かな。今年のPMFの若者たちも、なかなか健闘していました。
パート間の流れるようなフレーズの受け渡しとか、木管セクションのアンサンブルとか、まだまだ熟成には程遠い“若さ”は感じられたけど、丁寧で好感のもてる音楽づくりでしたよ。

でも、フィナーレのコーダでテンポを急に速めてオケを煽りたてたファビオ・ルイジの指揮は、個人的には「あれれ?・・・」という感じ。それまでの丁寧な音楽づくりが台無しになってしまって、最後だけお祭り騒ぎで終わってしまったかのよう。このコーダの中にも、“滋味”みたいなものが凝縮されているのだから、もう少ししっかりきちんと終わって欲しかったなぁ・・・。客席は沸いていたけど・・・。

客席は超満員。
やっぱりこういう活きのいい演奏会ってのは、いいねぇ。
若者たちにBravi!

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