■N響Music Tomorrow 2011
[2011年6月28日(火) 東京オペラシティ コンサートホール]
「芸術は爆発だ!」とは、かの岡本太郎の言葉。
この場合の「爆発」とは、なにも奇抜な表現で人を驚かせるってことじゃないんだなぁ。
自分のスタイルと、それを表現する確固たる技術があって、
作品から力強いエネルギーが出ていて、
観た者、聴いた者の心に強烈なメッセージを与え、
世界のマーケットの中で存在を主張する・・・
それを「爆発」と表現したんだなぁ・・・きっと。
N響が年に1回だけ催す、現代音楽のシリーズ、
「Music Tomorrow 2011」に出かけて、
そんな「爆発」する音楽に出会った。
曲は、第59回尾高賞受賞作品、
西村朗作曲、オーケストラのための「蘇幕者」だ。
オーケストラと舞楽の共演という大胆な発想。
舞台中央に、三間四方の舞楽舞台が設えられ、
それを三方から取り囲むようにオーケストラが並ぶ。
指揮台は、舞台後方の少し上手より。
舞台奥に弦楽器と打楽器、下手前に木管、上手前に金管、
という変則的な配置。
大阪の四天王寺などで行われる、
聖徳太子の御霊をまつる法要「聖霊会」の演目「蘇幕者」にインスパイアされた作品。
決して、日本の伝統芸術の西洋的表現ではない。
そこには、力強い音楽の響きと、芸術的メッセージが込められていて、
しかもエンターテイメント性もあるシアターピースになっていた。
45分もかかる「大作」だが、長さを感じさせない面白さ。
こうした作品を創り出した作曲家にBravo!
舞楽の舞人が3人必要なので、上演には制約があるだろうが、
ここらはN響の「親会社」のNHKが世界の放送オーケストラに働きかけて、
舞人と「舞楽」のスタッフだけ派遣して上演させたらどうだろう。
芸術作品に評価を与えたのなら、そのくらいのダイナミックさで紹介し、
世界中で「爆発」させて欲しいものだ。
舞楽の共演は、「天王寺楽所 雅亮会」。
舞人3人のお名前はプログラムに記載がなかったが、
1000年以上の伝統を誇る舞を力強く、きちんと表現し、
視覚的に楽しませてくれた。
彼らにもBravi!
プログラムの前半は、
尾高尚忠の「フルート小協奏曲」と
デュティユーの「コレスポンダンス」。
尾高賞の「原点」である尾高尚忠の作品は、
1947年の作曲というから、今から60年以上も前の「古典」。
軽やかさと様式美の中に、ふと日本的な「音」が感じられたりして、
面白い。
N響首席フルート奏者の神田寛明氏が好演。
デュティユーの作品は、リルケやソルジェニーツィン、ゴッホ、ムカルジー(インドからフランスに渡った人文学者・詩人)の書簡や作品が、ソプラノによって語られ歌われる。
ソプラノは、この曲を世界中で25回も演奏しているという、
バーバラ・ハンニガン。
こういう表現者がいて、繰り返し演奏されるということこそ、
新しい芸術作品には大切なんだ。
こんなに興味深く、面白い演奏会なのに、
客席の入りは今ひとつ。
N響は、昔は3月の定期で故・岩城宏之なんかが、
尾高賞受賞作品に加えて、内外の「現代音楽」をギンギンと紹介して、
ワクワクさせられたものだが、
最近の定期は、保守的&無思想になってしまった。
こういった「現代音楽」のプログラムを開催するのもいいんだが、
「普段の」定期公演のプログラムをもっとラディカルにしてもいいんじゃないかな。
コンセプトさえはっきりとさせられれば、お客だって楽しみにして会場に足を運ぶと思うよ。
N響の演奏活動だって芸術活動。
だったら、おおいに「爆発」しないとね!
そうそう、指揮はパブロ・ヘラス・カサド。
まだ30代半ばの「若手」。
派手さはないが、見事な指揮ぶり。
なかなかの注目株と見た。Bravo!

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