■METライヴビューイング「イル・トロヴァトーレ」
[2011年5月28日(土) 新宿ピカデリー]
メトロポリタン・オペラのライヴビューイング、
今シーズンも、あと2演目。
しかも最後の「ワルキューレ」は、
あまりの長さからか、3枚綴りのMET-LV回数券が使えず特別料金!
映画館だって5時間以上も粘られたら、「特別料金」にせざるを得ないってことか?
ワーグナーってのは、どこまで行っても「規格外れ」な男なんだなぁ・・・。
おぉっと!今日の上演は、
オペラの「規格」の中で、きちんとドラマチックな世界を描いてくれた、
われらがイタリアの誇るマエストロ、ジュゼッペ・ヴェルディでした。
ちなみに再来年の2013年は、ヴェルディとワーグナー双方の生誕200年。
世界中の歌劇場は、どんなことになってしまうんだろうか・・・???
話を今日の上映にもどします。
今日観たのは、ヴェルディの「イル・トロヴァトーレ」。
主役4人の配役は次の通り。
マンリーコ:マルセロ・アルヴァレス(T)
レオノーラ:ソンドラ・ラドヴァノフスキー(Sop)
ルーナ伯爵:ディミトリ・ホヴォロストフスキー(Bar)
アズチェーナ:ドローラ・ザジック(M.sop)
指揮は、レヴァインに代わって、マルコ・アルミリアート。
演出は、デイヴィッド・マクヴィガー。
主役の4人が、どれも力づよく、量感にあふれた歌唱と舞台上の存在感で、
いやもうイタリア・オペラの世界を堪能しました!
ヴェルディのオペラを歌うんなら、やっぱりこれくらいの体格と歌唱力がないとね!
それにヴェルディの音楽が、
なんと躍動感や推進力、情感にあふれていることか!
オペラである以前に、音楽というものはこうでなくちゃ!
こういう音楽にのってドラマが繰り広げられるから、
愛や憎しみ、嫉妬や復讐、その他もろもろ人間のドロドロが渦巻く世界を見せられても、
スカッ!とした気分で劇場を後にできるのである。
いやもう、イタリアオペラの醍醐味を思う存分堪能させていただきました。
キャストの中では、ルーナ伯爵を演じたディミトリ・ホヴォロストフスキーがBravissimo!
銀髪で格好良く、歌唱も演技も素晴らしい。
マンリーコを歌ったマルセロ・アルヴァレスもBravo!
この体格、野性味、声の艶と力強さは、イタリア人テノールの典型。
もう理屈なんかいらない世界。
レオノーラのソンドラ・ラドヴァノフスキーもBrava!
二人の男(ルーナ伯爵とマンリーコ)が恋の火花を散らして嫉妬に苦しむほどの、絶対的な美貌・・・というわけではないが、何よりも、ヴェルディ作品のヒロインに欠かせない声の力強さと気品がある。
アズチェーナのドローラ・ザジックは、ジプシー女そのものといった存在感。
深みのあるメッツォ・ソプラノで、唯一このドラマの人間関係の秘密を知る「女」を好演してBrava!
2幕冒頭の「鍛冶屋の合唱」をはじめ、兵士やジプシーたちに扮した合唱もBravi!
歌唱ももちろんだが、助演も含めて、一人一人の存在感が素晴らしい。
この量感を出せてこそ、イタリア・オペラだろう。
デイヴィッド・マクヴィガーの演出は、METの盆(回り舞台)を効果的に使い、スピーディな舞台転換でドラマをわかりやすく丁寧に描いていた。
複雑なドラマの世界と、その中で生きる登場人物の心理や関係がわかりやすい。
変な読み替えをする演出ではなく、METのこういうプロダクションには本当に好感がもてる。
というわけで、イタリア・オペラの醍醐味を思う存分堪能した3時間でした。

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