■ロジャー・ノリントン指揮、N響定期公演
[2011年4月23日(土) NHKホール]
東京では震災による重い空気も少しずつ平常の戻り、
オーケストラの演奏会も行われるようになってきた。
4月のN響定期の指揮は、ロジャー・ノリントン。
この人が指揮をすると、音楽が「生まれたて」のように聞こえてきて、実に楽しい。
数年前の客演で、モーツァルトの39番の交響曲を指揮したときなんか、
「ほら、ここのフレーズ、こんな響きです。面白いでしょ?」
とでも言っているような嬉々とした表情で指揮していたのが印象的。
そして、今回はなんとマーラー!
交響曲第1番をメインに、前半は「花の章」と「さすらう若者の歌」。
どんなマーラーを聴かせてくれるのか?
会場がNHKホールというのが気にくわないが、まあ自由席1500円也で聴けるんだから贅沢は言わない言わない。
客席に入って、舞台を見て驚いた。
オケの後方に、可動式の反響板パネルが5枚立てられている。
これで客席への音の「飛び」を良くしようというのだろうか。
会場全体の空間の広さはいかんともしがたいが、少しは音響上の改善になるのかも。親会社の放送局との関係で、当分はこの会場をメインに使わざるを得ないオケなんだから、いろいろと工夫を施して、聴衆が音楽を感動できる環境を模索してください。
さてさて、ノリントンのマーラー。
これが実に素晴らしかった。
ノンビブラート奏法を徹底させるだけでなく、各パートのバランスが絶妙で、フォルテッシモの音の塊の中にちゃんと内声部が聞こえるし、フレーズが湧き上がるように醸し出されていく。
どちらかというと、室内楽的ともいえる精緻なマーラーだが、「神経質」とか「内向的」とはではなく、しっかりと盛り上がるところは盛り上がる。
もしかして、マーラーはこんな響きや音楽の流れを思い描いて、この曲を作曲したんじゃないだろうか。
モーツァルトのときはいろいろと「小細工」を施して面白く造形していたノリントン、マーラーの場合は、作曲家自身のイメージがはっきりしていたのか、楽譜にきちんと様々な指示が書き込んである。だから、あまり小細工らしい小細工はしていない。むしろ、マーラーが音符として残した「響き」や「フレーズ」をオーケストラという「楽器」を使ってきちんと具体化することという、「プロの仕事」に徹していた。
それにしても、マーラーの曲に限らず、指揮台でオケの音楽に没入して大暴れしている指揮者を見かけるが、あんなのは「二流」だね。
とにもかくにも、ノリントンによる、面白く楽しい「マーラー体験」だった。
次回は来週、サントリーホールでのベートーヴェン・プロ。
こちらも今から楽しみだ。

0 件のコメント:
コメントを投稿