2011年1月30日日曜日

METの歴史的財産

■METライヴビューイング「西部の娘」
[2011年1月29日(土) 新宿ピカデリー]

NYのメトロポリタン歌劇場が100年前に初演した「西部の娘」。
その初演百周年を記念しての上演。
初演の指揮はトスカニーニ。テノールはカルーソー。作曲者のプッチーニも立ち会ったとか。
これこそ「歴史」というもんだ。

今回、主役のミニーはデボラ・ヴォイト、相手役のディック・ジョンソン実は盗賊ラメレスはマリチェロ・ジョルダーニ、保安官ジャック・ランスはルチオ・ガッロ。
指揮は、ニコラ・ルイゾッティ。

開拓時代の西部の荒くれ男どもの世界が忠実に再現されている。
そして、そんな荒くれどもの中にも、ホームシックにかかる若者がいて、故郷に帰る彼に仲間がカンパをする。そんな心やさしいシーンがあったりして、人間ドラマの厚みみたいなものが感じられる。
こういう変な読み替えをしない、原曲・原作に忠実な演出でオペラに接すると、本筋を支える細部の人物描写や情景などがいろいろと見えてきて面白い。

舞台美術も、舞台の上下よりも奥行きを活用した空間。
酒場の二階や首つり台などの高低差も活用して、とにかく空間をダイナミックに見せる。
この西部の酒場や町に、男声合唱の荒くれ男どもが動き回って、ボリューム感が自然に出ている。
いつものことながら、METの量的な組織力にはBravi!

ひとつだけ気になった点・・・。
聖書を読むシーンで、デボラ・ヴォイト扮するミニーが眼鏡をかけるのはいかがなものかな???
キスもしたことのない「娘」のはずなのに、あれじゃ老眼鏡にしか見えない。
当然のことながら、眼鏡を小道具で使うということは、ミニーは「近眼」(or遠視?)という設定なんだろうが、その「演出」が裏目に出てしまったなぁ。

2011年1月19日水曜日

編曲もの特集のプログラム

■イオン・マリン指揮、N響定期
[2011年1月19日(水) サントリーホール]

ルーマニア出身の指揮者イオン・マリンが振るN響定期。
プログラムはブラームスの「編曲物」ばかりによる凝った選曲。

ブラームス(ドヴォルザーク編):ハンガリー舞曲集から第17~21番
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
ブラームス(シェーンベルク編):ピアノ四重奏曲第1番

ね、なかなか凝ってるでしょ?

で、演奏はどうだったのかというと、悪くはないんだが、今一つ感動には遠いんだなぁ。

ブラームスのハイドン・バリエーションなんか、往年の名指揮者の実演や録音で、さんざん名演に接してきているだけに、プログラミングと同様、いろいろと凝った細工が音楽の自然な流れを妨げてしまっているよう。特に、冒頭の主題なんかテンポが遅すぎて、素材はわかったから早く変奏を聴かせてよ、とじれったくなってしまうほど。何事も考えすぎはよくないのかな。

「ピアノ四重奏曲」の最終楽章、“ロンド・アラ・ジンガレーゼ”、つまりジプシー風ロンドなんか、プログラム冒頭のハンガリー舞曲と好対照をなしていて、躍動感があってなかなか面白く聴けたけれども・・・。

音楽の深みとか自然な流れっていうのは、今の若手・中堅指揮者には望む方が酷なのかねぇ・・・。
なんだか昔を懐かしむ年寄りじみた感想になってしまった。

2011年1月15日土曜日

3人の歌姫

■二期会ゴールデンコンサート「歌姫たちの饗宴」
[2011年1月15日(土) 津田ホール]

安藤赴美子、日比野幸、文屋小百合という、二期会の若手ソプラノ3人によるコンサートに出かける。
前半は歌曲、後半はオペラ・アリアという構成だが、三者三様、それぞれの個性や芸術的な方向性の違いが選曲にも表れて、変化に富んだ楽しいコンサートとなった。

なかでも安藤赴美子は、声に強さとふくよかさと張りがあって、ディーバ(歌姫)の気品と貫録充分。華やかなグランド・オペラでの活躍が楽しみだ。

文屋小百合は、歌曲が平井康三郎の日本歌曲、オペラ・アリアが團伊玖磨の「夕鶴」から“与ひょう・・・からだを大事にしてね”と、プッチーニの「蝶々夫人」から“ある晴れた日に”という、「和」にこだわった選曲。舞台衣裳も振り袖の着物。この人はこれから、「日本路線」を大切にするんだろうな。


日比野幸は正統派イタリア路線。悲劇のヒロインなんかが似合う人だ。

お正月の華やかな雰囲気にも相応しい、楽しいコンサートでした。

2011年1月9日日曜日

2011年のオペラ初め

■METライブビューイング「ドン・カルロ」
[2011年1月9日(日) 新宿ピカデリー]

今年の「オペラ初め」は、生の舞台ではなく、映画館で。
METのライブビューイングのシーズン4作目、ヴェルディの「ドン・カルロ」だ。
休憩入れて4時間を超える上映だが、ワーグナーの楽劇なんかに比べて音楽のノリがいいし、「歌」があるし、喜怒哀楽のメリハリがあるし・・・ちっとも苦にならない。

配役は、ロベルト・アラーニャがタイトル・ロール。大奮闘。Bravo!。
フェルッチョ・フルラネットの国王フィリッポ2世、教会に操られ、息子には裏切られ、妻には愛されない王の苦悩が滲み出ていて、なかなかよろし。Bravissimo!
王妃エリザベッタのマリーナ・ポプラフスカヤは、顔の造作の印象からか、あえて意地悪く言えば,、高貴さと可愛らしさに欠けるかな。ま、これは女性の顔に対する好みの問題だけど・・・。あれだけエラが張っていて、目鼻口が顔の中央に集中しすぎているとねぇ・・・。
ロドリーゴのサイモン・キーンリーサイドは、ちょっと老け過ぎ?舞台向けというより映像向けのような細かな仕草が、かえって目障りなことも。
エボリ公女のアンナ・スミルノヴァは、「私の美貌が・・・」というにしては、ちょっぴり丸々しすぎ。ま、嫌いじゃないけどね・・・。

演出は、METデヴューのニコラス・ハイトナー。抽象化した大胆な舞台装置の枠組みの中に、伝統的ともいえる衣裳や小道具。主要登場人物の苦悩が、ドラマの中に解りやすく浮かび上がってくるような演出でBravo!

2011年1月8日土曜日

元気ハツラツ!佐渡裕&シエナ

■シエナ・ウインド・オーケストラ結成20周年記念コンサート
[2011年1月8日(土) サントリーホール]

佐渡裕指揮によるシエナ・ウンイド・オーケストラの演奏会には、いつも元気をもらえる。

結成20周年記念コンサートの東京公演は、「カルミナ・ブラーナ」一曲のみ。
しかも、朗読を入れて、ケレン味たっぷりに演奏。

「ケレン」は、歌舞伎の世界で猿之助や勘三郎なんかが、本水や宙乗り、早替りなんかを交えながら、面白く、スピーディに見せる舞台のときに使われる用語だが、佐渡&シエナの演奏会も、まさにケレンの極致。でも、ケレンだからといって、決して表面的効果ばかりを狙った中身のない演奏というのではない。こんなにも全体の構造がはっきりわかって、面白く聴けた「カルミナ・ブラーナ」は、これまでに経験がない。

そして、客席を埋めた聴衆の、なんとノリのいいこと。
会場全体が、張りとノリに満ちている、そんな演奏会でした。

2011年1月7日金曜日

2011年の演奏会初め

■東京芸術劇場ニューイヤーコンサート2011
クラシカル・プレイヤーズ東京演奏会
[2011年1月7日(金) 東京芸術劇場]

お正月飾りも今日まで。七草粥も食べた。

そして、今年最初の舞台芸術は、東京芸術劇場のニューイヤーコンサート。
とはいっても、ウインナワルツ物ではない。
有田正広氏率いるクラシカル・プレイヤーズ東京の演奏会で、ハイドンとモーツァルトのプログラム。

ハイドン:交響曲第103番「太鼓連打」
モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲
  (独奏は、有田正広&吉野直子)
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」

親しみ易くもあり、聴きごたえもあり、のプログラムだ。
楽器はオリジナル楽器なので、モダンのオーケストラとはピッチも違うし、音程の不安定さなどもある。
しかし、聴きなれた曲にいつもと違う微妙なニュアンスを感じられる仕掛けがあって面白い。

ハイドンの「太鼓連打」の冒頭なんか、ティンパニの堅い音によるトレモロが不気味なくらいの「音」の効果で、これから一体何が始まるんだろうか、といった雰囲気。初演当時のロンドンの聴衆も驚いたんじゃないだろうか。

モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲も、独奏楽器は当然ヒストリカルなもの。ヒストリカルハープというものを初めて聴いたような気がするが、意外とよく通る綺麗な音がする。こちらは、マリー・アントワネット時代のパリの雰囲気。

そして、モーツァルト最晩年の「ジュピター」。何かを必死に訴えたいような、何かに向かって突き進んでいるような、そんなモーツァルトの心が感じられる演奏だった。

2011年1月1日土曜日

ホームページ新装開店

あけましておめでとうございます。

年末年始はいかがお過ごしですか?

私めは、今年は「第九」の演奏会にも行かず、年末は、「年賀状作成」「資料等の大処分」「大掃除」「おせち料理」・・・と、伝統的な日本の年越し行事。

過去には、カウントダウン公演の担当として劇場で年越ししたこともあったし、イタリアのシチリアで新年を迎えたことも・・・。

でもやっぱり、日本の年越しが一番。

大晦日は、最後の大掃除をして、風呂に入り、年越し蕎麦を食べて、テレビ東京の「年忘れ!にっぽんの歌」で、演歌やムード歌謡に涙を流がし、NHK「紅白歌合戦」へとハシゴ。

そんな年末の時間が穏やかに過ぎていき、やがて「ゆく年くる年」・・・少し離れたところの寺からも、除夜の鐘が聞こえてくる。 そして氏神様に初詣。

いいなぁ・・・。

今年は、そんないつもの大晦日に、デラルテ舎ホームページのリニューアル作業が加わった。
今まで親しんでいただいたホームページを全面的にリニューアル。
イラストレーターの酒井うららさんにお願いしてコメディア・デラルテのキャラクターを描いてもらい、トップページはアニメーション化した。これが結構楽しい!
このブログをお読みくださっている皆様も、是非、新装なったホームページをご訪問ください。
ちなみにトップページのアニメーションは5パターン用意してあります。

デラルテ舎ホームページ
http://www.dellarte-c.com/

それでは、2011年が笑顔にあふれた素敵な一年となりますように!