■ネルロ・サンティ指揮、ヴェルディ「アイーダ」(N響定期)
[2010年10月15日(金) NHKホール]
サンティがN響定期で「アイーダ」全曲を演奏会形式で振るというので、久々にNHKホールの3階席に出かけた。
「アイーダ」は、その昔、初めて接したオペラの実演。
1973年、新装なったNHKホールのオープニングで上演された「イタリア歌劇団」。
指揮は、オリヴィエロ・デ・ファブリティース。オリアンナ・サントゥニオーネのアイーダの他、アムネリスがフィオレンンツァ・コッソット、ラダメスがカルロ・ヴェルゴンツィという錚々たる顔ぶれ。森下洋子と清水哲太郎が凱旋の場で踊っていたのも目に焼き付いている。
当時、高校生だった吉田少年は、舞台と声のスペクタクルに素直に衝撃を受けたのでした。
さて、その同じNHKホールで、現代のイタリア・オペラのマエストロ、ネルロ・サンティが「アイーダ」を振るという。これはもう、出かけない手はない。
全4幕を暗譜で指揮。もう、ヴェルディの音楽が、完全にあの体の中に入っている。
それは、オーケストラや合唱、ソリストといった「楽器」を使った、サンティ演出による音楽ドラマとしてのオペラ。各幕の情景が目に浮かぶようで、見事な演奏でした。
出演者の中では、アモナズロのパオロ・ルメッツが堂々としていて深みもあって立派。
使者を歌った松村英行と、女祭司長の大隅智佳子の日本人ソリスト2名も、チョイ役ながら伸びやかな声で好演。
アムネリスのセレーナ・パスクアリーニもなかなか良かったが、もう少し深みのある声の方が良かったかな。(コッソットのアムネリスと比べたら可哀想か・・・)
アイーダはサンティの演奏会で毎回お馴染みのアドリアーナ・マルフィージ。マエストロには悪いが、盛りを過ぎたのか、声量も艶も今ひとつ。全篇、不幸な境遇に耐えながら歌わなければならず、明るく発散する役どころじゃないから仕方ないのかもしれないが、もう少し若さと可憐さがあったら良かったのに・・・。
ラダメスは、韓国人のサンドロ・パーク。イタリア各地の歌劇場で活躍しているそうな。幕あきの「清きアイーダ」は、あれっ、こんなもん?て感じだったが、曲が進むにつれてだんだんと調子を上げてはきた。でも、ヘルデン・テノールとしての絶対的な存在感・声量という点では、やや物足りなかったかな。
エジプト王のフラノ・ルーフィとランフィスのグレゴル・ルジツキ、どちらも立派な歌唱でした。
そして忘れちゃならない二期会の合唱。衣裳費を気にしなくていい演奏会形式だからか、充分な人数で素晴らしいコーラスを聴かせてくれました。フォルテの部分もさることながら、ピアニッシモの部分が見事にコントロールされていて、素敵だった。
N響もマエストロ・サンティの指揮のもと、なかなかの好演。
ただ、アイーダ・トランペットは、もう少し堂々と喜ばしい演奏ができないものかね。凱旋の場を演出するラッパとしては、もうちょっと華やかさが欲しかったなぁ。
まあ、いろいろと書いたけれど、「アイーダ」というオペラは、マエストロ・サンティほどじゃないけれども、全曲頭に入っているくらい聴きこんだ大好きなオペラ。だから、思い入れも強い作品なのです。
期待通りの水準の高い上演でした。

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