2010年10月10日日曜日

フェラーリ初体験

■芸大オペラ「イル・カンピエッロ」
[2010年10月9日(土) 東京芸術大学・奏楽堂]

フェラーリはフェラーリでも、F1のフェラーリではなく、作曲家のヴォルフ・フェラーリ。
彼のオペラ「イル・カンピエッロ」を観に、上野の森の東京芸大まで出かける。

ヴォルフ・フェラーリといえば「マドンナの宝石」間奏曲しか聴いたことがなく、そのオペラの実演に接するのは初めて。
世界的にみても、そんなに上演の機会はないんじゃないだろうか。

ベネチアの小さな広場(カンピエッロ)に面して生活する4軒の家族の間で生じる恋愛騒動が、一日の時間の流れのなかで活き活きと描かれた3幕物のコミック・オペラ。
原作は、カルロ・ゴルドーニ。
登場人物も、コメディア・デラルテのキャラクターを彷彿とさせるものがある。

演出は、labo opera絨毯座の「偽のアルレッキーノ」公演でデラルテ舎ともご縁の深い久恒秀典氏。
ドアや窓の開け閉めが交錯するドタバタ感や、各人物の造形や動作をもう少しコミカルに描いてほしい気もしたが、全体的に丁寧な舞台づくりで、素直に楽しめた。

音楽的には、各幕の冒頭に流れる前奏曲(もしくは短い前奏)が、運河の街ベネチアの「水」の雰囲気を表した美しい音楽でハッとさせられたのと、2幕の幕切れで「ばあさん踊れ」と歌い踊る大合唱、3幕ラストのガスパリーナのアリア「さようなら、愛しのベネチアよ」が特に印象的。
明るく屈託がなく、ちょっとセンチメンタルなヴォルフ・フェラーリの節回しを堪能。

この時期は、オペラにコンサートに、音大の演奏会が盛んになる。
こうした珍しいオペラを、採算度外視で上演して見せてくれるのも、音大企画のいいところ。
この公演なんか、入場料はたったの3,000円!
演奏水準だって、充分に高い。
合唱だって充分な数がいて、演劇的にも音楽的にも納得のいく「厚味」を出せている。

東京の音楽シーンにとって、無視できない上演だと思うのだが、どうもメディアはきちんとレポートしたり音楽評の対象にしていない。日本の音楽ジャーナリズム(こんなものが存在するとしたらだが・・・)は音大の企画にはアンテナをあまり張っていないというか、どうも感度が鈍いんだなぁ。

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