■佐渡裕指揮、シエナ・ウインド・オーケストラ定期演奏会
[2010年9月24日(金) 東京芸術劇場・大ホール]
舞台に団員が出てきたときの温かい拍手にハッとした。
演奏会を楽しみにしていた期待感とオケへの親近感に満ちた、とてもフレンドリーな「響き」。東京のプロ・オケ演奏会では、あまり体験しない拍手の響きだったからだ。
これは、首席指揮者の佐渡裕とシエナ・ウインド・オケの長年にわたるプロ吹奏楽団としての活動の「成果」かな?(シエナは結成20周年だとか・・・メデタイメデタイ!)
今まで何度か「シエナ」の演奏会を聴いてきたが、その「サービス精神」と「活きの良さ」に、今回もたっぷり楽しませていただきました。
プログラムは、
クロード・トーマス・スミス:華麗なる舞曲
ホルスト:吹奏楽のための第2組曲
レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲(真島俊夫編曲)
レスピーギ:交響詩「ローマの祭り」(森田一浩編曲)
それに、いつもお決まりの佐渡マエストロのコテコテの関西風トークで進められる「音楽のおもちゃ箱」コーナーが休憩前にあり、定番のアンコールではスーザのマーチ「星条旗よ永遠なれ」を楽器持参の聴衆を舞台に上げて大合奏して盛り上がる。
どこか体育会系ノリもある吹奏楽というジャンルだが、シエナの演奏会はオペラやオーケストラの気取った雰囲気とは異なり、いつも音楽をエンジョイする空気があふれていて、一聴衆としても大いに楽しめる。
これからも応援してまっせ!
2010年9月25日土曜日
2010年9月23日木曜日
劇作家・井上ひさしの原点
■テアトル・エコー「日本人のへそ」
[2010年9月21日(火) 恵比寿・エコー劇場]
井上ひさしが劇作家としての第一歩を踏み出した作品、「日本人のへそ」がテアトル・エコーで上演されるというので、恵比寿のエコー劇場まで出かけた。
作家の急逝により図らずも「追悼公演」となってしまい、チケットは早々と完売。
興行界において、「追悼」ほど強力な宣伝効果はないのだなと痛感。
「劇作家としての第一歩」と書いたが、NHKの「ひょっこりひょうたん島」の台本作者をしていた井上ひさし氏に、海賊トラヒゲの声を吹き込んでいた熊倉一雄氏が芝居の執筆を依頼したというのが本作および「劇作家・井上ひさし」の誕生というわけ。
執筆を依頼し、初演でも演出・出演した熊倉一雄氏が今回も演出。
きっとこの作品に特別な思い入れをお持ちなのだろう・・・。あまり奇抜な演出はせず、井上作品がストレートに展開されていく。
それによって、井上ひさし芝居のエッセンスが、良くも悪くも処女作の中に見られるのがよ~くわかった。
つまり、一幕は奇抜な設定や言葉遊びでテンポ良く面白いのに、二幕になるとドラマをなんとか収束しなければならなくなって、芝居のペースが落ち、あえて言えばご都合主義に陥ってしまう傾向がある。執筆が遅く、自ら「遅筆堂」などと称していた井上ひさし氏。一幕は筆の勢いが感じられるものの、二幕ではさっぱり筆の勢いが感じられないのだ。一幕はミュージカル仕立てなのに、二幕では当然のことながら曲を付ける時間的余裕がなかったものとみられ、音楽は無し。(音楽は服部公一氏)
一幕と二幕のバランスがどうも悪いのだ。
これは他の井上作品でも感じたことがあり、ああ処女作から変わらなかったんだ、と変に感心してしまった次第。
それともう一つ。
井上ひさしという作家は、劇作家というより、小説家・文学者だったんじゃないだろうか。
出版されている文庫本などで読む「以上」の劇的感興が、舞台から感じられないのだ。
これは演出や役者の側の責任かもしれないが、案外、井上作品が本質的に持っている「文学性」に原因があるのかもしれない。
とにもかくにも、現代日本の演劇史の中でひとつのエポックを残した井上ひさしの「原点」に触れることのできる貴重な観劇体験でした。
テアトル・エコーHP
http://www.t-echo.co.jp/
[2010年9月21日(火) 恵比寿・エコー劇場]
井上ひさしが劇作家としての第一歩を踏み出した作品、「日本人のへそ」がテアトル・エコーで上演されるというので、恵比寿のエコー劇場まで出かけた。
作家の急逝により図らずも「追悼公演」となってしまい、チケットは早々と完売。
興行界において、「追悼」ほど強力な宣伝効果はないのだなと痛感。
「劇作家としての第一歩」と書いたが、NHKの「ひょっこりひょうたん島」の台本作者をしていた井上ひさし氏に、海賊トラヒゲの声を吹き込んでいた熊倉一雄氏が芝居の執筆を依頼したというのが本作および「劇作家・井上ひさし」の誕生というわけ。
執筆を依頼し、初演でも演出・出演した熊倉一雄氏が今回も演出。
きっとこの作品に特別な思い入れをお持ちなのだろう・・・。あまり奇抜な演出はせず、井上作品がストレートに展開されていく。
それによって、井上ひさし芝居のエッセンスが、良くも悪くも処女作の中に見られるのがよ~くわかった。
つまり、一幕は奇抜な設定や言葉遊びでテンポ良く面白いのに、二幕になるとドラマをなんとか収束しなければならなくなって、芝居のペースが落ち、あえて言えばご都合主義に陥ってしまう傾向がある。執筆が遅く、自ら「遅筆堂」などと称していた井上ひさし氏。一幕は筆の勢いが感じられるものの、二幕ではさっぱり筆の勢いが感じられないのだ。一幕はミュージカル仕立てなのに、二幕では当然のことながら曲を付ける時間的余裕がなかったものとみられ、音楽は無し。(音楽は服部公一氏)
一幕と二幕のバランスがどうも悪いのだ。
これは他の井上作品でも感じたことがあり、ああ処女作から変わらなかったんだ、と変に感心してしまった次第。
それともう一つ。
井上ひさしという作家は、劇作家というより、小説家・文学者だったんじゃないだろうか。
出版されている文庫本などで読む「以上」の劇的感興が、舞台から感じられないのだ。
これは演出や役者の側の責任かもしれないが、案外、井上作品が本質的に持っている「文学性」に原因があるのかもしれない。
とにもかくにも、現代日本の演劇史の中でひとつのエポックを残した井上ひさしの「原点」に触れることのできる貴重な観劇体験でした。
テアトル・エコーHP
http://www.t-echo.co.jp/
2010年9月17日金曜日
老匠による端正な音楽
■ネヴィル・マリナー指揮、N響第1680回定期公演(Bプログラム)
[2010年9月16日(木) サントリーホール]
今月のN響定期の指揮は、ネヴィル・マリナー。
いまだに、アカデミー・セントマーチン・イン・ザ・フィールズ(アカデミー室内管弦楽団)の創設者というイメージがどうしても強いが、もう御歳86歳。堂々たる老マエストロだ。
3年前にN響定期でブラームスの交響曲第4番を指揮して、その滋味あふれる音楽に好感をもっていたので、今回の演奏会も楽しみにして出かけた。
曲は、
チャイコフスキー:幻想序曲「ハムレット」
サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番
ブラームス:交響曲第1番
というもの。
Cプログラムの1曲目は、シェイクスピアの「から騒ぎ」を元にした、ベルリオーズの歌劇「ベアトリスとベネディクト」序曲だから、シェイクスピアの国イギリスの指揮者として、コンサートのオープニングに“シェイクスピア物”を置いて特色を出したのだろう。こういうことが読み取れると、コンサート・プログラミングの面白さが実感できて楽しい。
演奏は、一言で言って「端正」そのもの。
しかし、決して折り目正しいだけで盛り上がりに欠けるかというと、そうではなく、音楽の自然な流れの中で、ちゃんと盛り上がっていく。
マリナーも御歳86歳。
“爺さん好き”な日本の聴衆は老匠に大喝采していた。
そうそう、チェロ協奏曲でソリストをつとめたアルバン・ゲルハルトが、ブラームスではちゃっかり2プルト目に座ってオケのトラをつとめていました。
自ら「志願兵」で乗り込んだのか、なんらかのアクシデントで生じた穴を埋める助っ人だったのかはわからないが、信頼するマエストロの棒の下でシンフォニーを楽しそうに演奏している姿が微笑ましいものでした。
[2010年9月16日(木) サントリーホール]
今月のN響定期の指揮は、ネヴィル・マリナー。
いまだに、アカデミー・セントマーチン・イン・ザ・フィールズ(アカデミー室内管弦楽団)の創設者というイメージがどうしても強いが、もう御歳86歳。堂々たる老マエストロだ。
3年前にN響定期でブラームスの交響曲第4番を指揮して、その滋味あふれる音楽に好感をもっていたので、今回の演奏会も楽しみにして出かけた。
曲は、
チャイコフスキー:幻想序曲「ハムレット」
サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番
ブラームス:交響曲第1番
というもの。
Cプログラムの1曲目は、シェイクスピアの「から騒ぎ」を元にした、ベルリオーズの歌劇「ベアトリスとベネディクト」序曲だから、シェイクスピアの国イギリスの指揮者として、コンサートのオープニングに“シェイクスピア物”を置いて特色を出したのだろう。こういうことが読み取れると、コンサート・プログラミングの面白さが実感できて楽しい。
演奏は、一言で言って「端正」そのもの。
しかし、決して折り目正しいだけで盛り上がりに欠けるかというと、そうではなく、音楽の自然な流れの中で、ちゃんと盛り上がっていく。
マリナーも御歳86歳。
“爺さん好き”な日本の聴衆は老匠に大喝采していた。
そうそう、チェロ協奏曲でソリストをつとめたアルバン・ゲルハルトが、ブラームスではちゃっかり2プルト目に座ってオケのトラをつとめていました。
自ら「志願兵」で乗り込んだのか、なんらかのアクシデントで生じた穴を埋める助っ人だったのかはわからないが、信頼するマエストロの棒の下でシンフォニーを楽しそうに演奏している姿が微笑ましいものでした。
2010年9月10日金曜日
演奏会シーズン再開!
■北原幸男指揮、武蔵野音楽大学管弦楽団演奏会
(2010年9月9日(木) 東京オペラシティコンサートホール)
今年の夏は猛暑!
おまけに長い!
こうも暑いと、さすがにコンサートホールや劇場になぞ出かける気が失せてしまう。
というわけで、8月後半からしばらくは音楽や芝居から遠ざかっていたが・・・
昨夜、武蔵野音楽大学管弦楽団の演奏会で私の“秋のシーズン”再開しました。
指揮は北原幸男マエストロ。
(彼、実は小学校の同級生なので、スケジュールが許す限り演奏会には足を運んで応援しているのです)
プログラムは、ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」序曲と幻想交響曲に、コンチェルトはショパンの1番。
ピアノ独奏は、学生オーディションで選ばれた野上剛君。
端正だけど、きちんと盛り上がっていくベルリオーズ。
繊細で美しいショパン。
学生たちのオケも、なかなか頑張っていい響きを出していました。
何よりも演奏に対するハートの熱さを感じられて、好感が持てます。
そして音大オケの魅力の一つは入場料の安さ!
これだけの演奏で、料金1,500円也はお得だと思いますよ。
というわけで、私が立ち上げに関わり、現在もアドバイザーを務める「音楽大学オーケストラ・フェスティバル」が11月から12月にかけて東京芸術劇場とミューザ川崎シンフォニーホールで開催されます。
これなんか、入場料1,000円だからね!
いまどき千円札一枚で芸術に触れられる機会なんて、そうそうありませんよ。
(2010年9月9日(木) 東京オペラシティコンサートホール)
今年の夏は猛暑!
おまけに長い!
こうも暑いと、さすがにコンサートホールや劇場になぞ出かける気が失せてしまう。
というわけで、8月後半からしばらくは音楽や芝居から遠ざかっていたが・・・
昨夜、武蔵野音楽大学管弦楽団の演奏会で私の“秋のシーズン”再開しました。
指揮は北原幸男マエストロ。
(彼、実は小学校の同級生なので、スケジュールが許す限り演奏会には足を運んで応援しているのです)
プログラムは、ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」序曲と幻想交響曲に、コンチェルトはショパンの1番。
ピアノ独奏は、学生オーディションで選ばれた野上剛君。
端正だけど、きちんと盛り上がっていくベルリオーズ。
繊細で美しいショパン。
学生たちのオケも、なかなか頑張っていい響きを出していました。
何よりも演奏に対するハートの熱さを感じられて、好感が持てます。
そして音大オケの魅力の一つは入場料の安さ!
これだけの演奏で、料金1,500円也はお得だと思いますよ。
というわけで、私が立ち上げに関わり、現在もアドバイザーを務める「音楽大学オーケストラ・フェスティバル」が11月から12月にかけて東京芸術劇場とミューザ川崎シンフォニーホールで開催されます。
これなんか、入場料1,000円だからね!
いまどき千円札一枚で芸術に触れられる機会なんて、そうそうありませんよ。
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