■日比谷公会堂開設80周年記念事業「N響第九」
[2010年7月2日(金) 日比谷公会堂]
洒落たコンサートホールが続々と誕生し、最近では滅多にクラシック演奏会が行われなくなった日比谷公会堂。しかし、戦前・戦中、そして戦後の復興期、ここはまさに「音楽の殿堂」だった。
その日比谷公会堂も御歳八十。
だが、いまだに立派な姿でカクシャクとしていたのには感動した。
確かに、最近の「若者」ホールのように、豊かな残響もなければ、バーコーナーもない。階段の段差はキツイし、客席の椅子は座り心地が悪い。
しかし、そんなことに文句をつける客は一人もいない。
だって、ここは昔からこうだったんだから・・・。
井上道義指揮N響の演奏で、聴きなれた第九の第1楽章が始まったとき、「そうそう、昔はこの響きでオーケストラを聴いていたんだ!」と懐かしくなった。(かつて、クルト・ザンデルリンク指揮の読売日響によるショスタコーヴィチなんかをここで聴いたことがあるのです)
残響はほとんど無し!スタジオ録音した各パートの音素材を、ミキシングなしで再生しているよう。
他ホールでは豊かな響きの影に隠れてしまう弦楽器の細かいパッセージが、直接音で耳に飛び込んできて、新鮮は発見もある。
かえってオーケストラの力量が歴然とし、細かいミスが目立ってしまう怖さもあるんじゃなかろうか。
こんな怖いホールで、日本音楽界の先人たちは、西洋音楽に果敢にチャレンジしていたのかと思うと、感慨もひとしお。
舞台には14型のオケと合唱団が乗るため、反響板の側板は取り払われており、舞台裏のシャッターやら配管などが剥き出しの状態。
会場に入ったときには、正直ギョッとしたが、慣れてしまえば、そんな飾り気のない「風景」も割烹着姿で化粧っ気のないおばあちゃんを見るようで微笑ましい。
会場はオールドファンと若い音楽ファンで超満員。
盛大な拍手は、このホールそのものへの郷愁と賛辞だったように感じた。
こういうホールは適切な改修を施して、末永く生き続けていってほしいものである。
古いものを大切にしなければ、ね!
今から20年後の「百周年」が楽しみだ。

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